【書評】みきまる著『楽しみながらがっちり儲かる 優待バリュー株投資入門』

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お金の話

今回は、私が尊敬する株式投資家さんの本をご紹介したいと思います。

株式投資家・みきまるさんが書かれた『楽しみながらがっちり儲かる 優待バリュー株投資入門』という本です。

結論としましては、株主優待が好きで、株式投資が趣味になりつつある方にはぜひともオススメしたい本です!

みきまるさんは、私にとって株主優待投資の師匠のような方

みきまるさんは、私が株式投資や株主優待に興味を持つきっかけとなった方です。私にとっての株主優待投資家といえば、桐谷さんよりもみきまるさんですね(笑)

みきまるさんは、「みきまるの優待バリュー株日誌」というブログで、保有銘柄の紹介や、著名投資家の書籍の紹介などをされていて、その詳細な銘柄分析や軽妙な語り口で多くの読者を集めています。

今回の書籍は、そんなみきまるさんが20年間にわたって培ってきた投資法を、過去の著名投資家による投資本の格言を引用しながら説明されており、とても読み応えがありました。

ここでは、本の中で紹介されている、みきまるさんの特徴的な投資法の概要と、私の個人的な感想を書かせていただきます。ただ、本の内容は非常に中身が濃く、ここで書かせていただくのはほんの触り程度です。私は今後も何度も読み直しながら勉強させていただこうと思っています。

みきまるさんの提唱する優待バリュー株投資とは?

まず、本のタイトルにもなっている「優待バリュー株投資」とは一体何なのでしょうか。

本の中では、優待バリュー株投資とは、「株主優待制度があり、かつ株価が割安な株を売買する手法」と定義されています。

株価が割安な株を売買するバリュー株投資法はもともと有名な投資法ですが、そこに「日本独自の株主優待制度と組み合わせて投資判断をする」という手法が、みきまるさんによって「優待バリュー株投資」と命名されているわけですね。

優待族との違いは?

優待族とは、「好きな株主優待を手に入れることを目的に株を買う人」と、本の中で紹介されています。株主優待を取得するためにクロス取引を行う方も広い意味では優待族に当てはまるのでしょうね。

優待族に対して優待バリュー株投資とは、「株主優待のある銘柄を保有株のメインに組み込むことで、TOPIXなどのインデックスを中長期にわたって上回る運用成績を上げることを目的とした投資」と説明されています。

株主優待そのものに大きな価値は見出しておらず、あくまで「株主優待を設けている銘柄」の売買によって、市場平均を上回ることを目的としている点で大きく異なるわけですね。

たしかに、株主優待には魅力的なものが沢山ありますが、割安かどうかという判断を気にせず購入してしまうと、その後の株価の変動によって、株主優待の価値以上に株価が大きく下落するリスクは高いでしょう。私はその判断を見誤って大きく損失を経験したことがあります。。。

※余談ですが、株主優待の取得を目的としたクロス取引は、私は行なっていません。以下の記事ではクロス取引の弊害についてまとめています。

株主優待の取得を目的としたクロス取引。その弊害とは?

「優待株いけす」という考え方

みきまるさんの投資方針として特徴的なのが、「優待株いけす」という考え方です。

「たくさんの優待株を買って、それを『いけす』に入れた養殖魚のように飼って、その切磋琢磨を楽しく観察する。そして、総合的な戦闘力が飛び抜けた、黄金色に輝くとびきり活きのいい魚を見つけて、それを主力株に昇格させる」という投資方針、と説明されています。

保有株を「いけすで飼っている」という表現が、なんともユニークですね。

先ず少額で優待株を買ってみる。そして、色んな種類の優待株を増やしていく。保有しながら比較をして、その中から「これは!」と思う優待株を集中的に多く保有し、その銘柄の成長と株価の上昇によってパフォーマンスを上げる、という流れですね。

先ず多くの株を保有することによってリスクを分散させてから、大きな投資判断(主力株を集中投資)をじっくり検討するという方法は、損をしにくい戦い方のように思います。一方で、多くの株を同時に比較検討するというのはなかなか労力のかかることで、誰でも出来るわけではないですね。みきまるさんの保有銘柄数はおそらく数百種類以上でしょうから、個人的には数十種類ぐらいに留めておくのが現実的ではないかと思います。

優待ディープバリュー株とは

優待バリュー株にはいくつか種類が分かれるのですが、その中の一つとして特徴的なのが「優待ディープバリュー株」というものです。

これは、「株価指標が極めて割安なバリュー株にたまたま株主優待が付いている株」と定義されています。

ディープバリュー(=極めて割安)であるかどうかを判断するのによく使われるのが、米国の投資家ベンジャミン・グレアム氏の提唱する「グレアムミックス係数」です。

グレアムミックス係数は、PBR(株価純資産倍率)とPER(株価収益率)の掛け算で算出されます。

グレアム氏は「PBR×PER=22.5以下」であることをディープバリューの基準と定めていますが、

みきまるさんは、このグレアムミックス係数をさらに半分、「PBR×PER=11.25以下」であることをディープバリューの基準として判断されているとのことです。これはかなり厳しい基準です。

例えば、2019年12月末時点の東証1部上場企業全平均のグレアムミックス係数を調べてみたところ、PBR1.2×PER15.9=19.08となっています。業態によって指標にバラツキはありますが、「PBR×PER=11.25以下」というのは東証1部の平均値と比べて相当に割安であることが分かります。

その基準をクリアした銘柄であれば、株価の下振れリスクは比較的少ないと言えるかもしれませんね。

感想まとめ 株主優待好きで株式投資が趣味になりつつある人にオススメの本です!

個別株投資家であれば、インデックス投資を上回ることを目指すのは当然ですが、長年株式市場でパフォーマンスを上げている投資家は、やはり多くの努力や創意工夫が隠れているということが、みきまるさんの本を読んでいると伝わってきます。

「インデックス投資のパフォーマンスを得るので十分」と考えるなら、主要指標に連動するETF(上場投資信託)を買えば良いですからね。株式投資の勉強なんてせずにETFを毎月積み立て購入しておいて、その時間を他のことに使えばいいのです。

でも、そもそも株式投資自体が好きだったり、株式市場の値動きに魅了されている人は、それはもはや趣味の領域なので、夢中になれるのだと思います。夢中になれるものがあることは素晴らしいことですよね。

この本の中に、

「市場はコントロールできない。しかし自分の意思決定はコントロールできる」

という一節がありましたが、みきまるさんの軽妙な語り口調でこう言われると、やっぱりインデックス投資だけでなく、「株式市場に身を置きたい」と思ってしまう自分がいます。私も企業の成長を追うのが好きな投資家の端くれであり、気づけば趣味の一つになっていることを自覚した次第です。

 

ただ一つ、僭越ながら物足りなかった点を挙げさせていただくと、

「株主優待が廃止されるというリスクに対して、どう対応していくか?」という株主優待特有のデメリットについての言及が見当たらなかったのが少し残念でした。

株主優待の廃止は、企業の意思決定である日突然発表されますから、廃止による株価の大幅下落というリスクは常に付きまといます。それをどう見極めて対応するかといったリスク回避策についての、みきまるさんの考えはぜひ知っておきたいところでした。

 

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最後までお読みくださり、ありがとうございました。