妻が出産を控えている中、この度、私は、育児休業、いわゆる「育休」を取得することにしました。
育児休業する期間は、6か月間です。
この記事では、私が育児休業を取得するに至った経緯について書いています。
ご参考になる方がいましたら幸いです。
6か月以上の育児休業を取得した男性は、0.2%

厚生労働省の統計によると、男性の育児休業取得率は、2018年度で6.16%となっています。
これは、「(当たり前ですが)配偶者が出産した男性のうち、育児休業を開始した人」の割合です。
(参照先)平成30年度雇用均等基本調査速報版:
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05049.html
さらに、育休を取得した男性の中で、実際に取得した日数は、「5日未満」が57%、「5日~1か月未満」は26%、
6か月以上取得した人の割合は、3.0%となっています(平成27年度 雇用均等基本調査)。
(参照先)産経新聞「男性の育休6割が「5日未満」 名ばかり育休加速 厚労省が啓発強化」:https://www.sankei.com/life/news/190624/lif1906240027-n1.html
調査年度が若干異なるものの、これらを総合すると、
「配偶者が出産した男性のうち、育児休業を6か月以上取得した人」は、
男性の育児休業取得率 6.16% × 育休を取得した男性で6か月以上取得した割合 3.0%=0.18%、となります。
私が勤める会社では、職場の周りで育児休業を取得している男性はいませんでした。
ですので、
「育児休業を取得したい、それも、6ヶ月間取得したい」
という考えを、会社に伝えるのは、正直なところ、怖かったです。
でも私は、「どうしても育児休業を取得したい、する必要がある」と思っていましたので
覚悟を持って上司に伝え、受け入れてもらいました。
男性の育児休業の取得率が低いのは、育休を取得したいなんて言い出せない職場が多い、というのも理由の一つだと思います。
その点で、私は職場の上司、周りの同僚、メンバーに本当に恵まれていると思っています。
私が育児休業を取得する理由

理由その① 妻の心身の状態に不安がある
以前からブログに書いているのですが、妻は過去に線維筋痛症、間質性膀胱炎という身体の痛みの症状と向き合ってきました。
幸い、インド・スリランカの伝統医学であるアーユルヴェーダのアプローチなどを取り入れながら、線維筋痛症、間質性膀胱炎という身体の痛みの症状は大分和らいできていますが、
一般的な年代の女性と比べると、力は弱く、身体は疲れやすい状態です。
このような身体の症状は、完全に回復することは難しく、寛解(徐々に和らいでいく状態)を目指すことが大事と言われているため、
劇的に改善することは考えにくいです。
また、双極性障害という精神疾患の症状も診断されています。
妻の精神疾患の症状は、過去のトラウマに起因することが多く、ふとした時に心が苦しめられることがあります。
日常生活を送る上で、一つのハンディを背負っている状態です。
こちらは、身体的な症状よりも根が深いと思っており、改善していくのにも時間がかかります。
それでも、メンタルクリニックや、マインドフルネス、SE(ソマティック・エクスペリエンス)療法といった心理的なアプローチを試みながら、心の安定を図って、なんとか日常生活を送っています。
こういった状況の妻に、生まれたての赤ちゃんを預けて私が平日会社に行って仕事をするのは、正直なところ、不安は感じますし、妻自身もそう感じています。
このことに絡んで、もう一つ大きな理由があります。
理由その② 実家と義理の両親ともに頼れる状況ではない
私の実家と妻の両親双方に頼ることが難しい状況です。
これは、妻の精神疾患の症状に大きく起因しています。
妻の場合、精神疾患の大きな要因となっているのが、幼少時代から、両親からの愛情が不足していたことです。
小さいときから満足に愛情を受け取れていなかったこと、最低限必要なお金が回ってこなかったこと、母親が入っていた新興宗教の勧誘などがありとても嫌な思いをし続けていたこと・・・。
これら子供時代に嫌と拒否できなかった(親の愛情がさらに離れてしまうことへの恐怖から出来なかった)ことが積もりに積もっていて、気が付いたら自分自身がそれに縛られてしまっていたこと。
いつしか、自分は親からの愛情を受けるだけの価値がない存在なんだ、と受け入れてしまっていたようです。
これは、現代で言うところの「ネグレクト系の虐待」にあたるものだと思います。暴力だけが虐待ではないのです。
これらが、妻の心のストレスとして奥深くに残ってしまっています。そしてそれは、身体の痛みの症状にも表れてきたわけです。
大人になって、身体の痛みの症状や、精神的なケア、心理的なアプローチを続けていく中で、気が付いてきたのです。
「私の親は、毒親だった」
「私の欲求は、受け入れてもらえていなかった」
ということに。
同じ勧誘を何度も繰り返す。嫌なことを伝えても、話が通じない。
そこで私たちは決めました。妻の両親との連絡は一切しないと。
両親と距離を置くことが、妻の精神上最も安定することができるからです。
妻の両親からの連絡は、常に私を介して連絡してもらい、緊急を要する場合のみ、事務的に妻に伝えるようにしています。
里帰り出産なんて、論外なのです。
では、私の実家の両親はどうか。
これも、妻の精神疾患の症状と絡む問題です。
結婚当初から、私の母親は、妻の症状を気にするあまり、色々と世話を焼こうとしてきたのです。
「これをやったほうが身体に良い」
「これを食べないからよくならないんじゃないか」など、
様々なことを妻に投げかけてきました。
しかも、母親からしてみれば「よかれと思ってアドバイスしている」という心理です。これが厄介なのです。
これは、妻本人にしてみれば、いい迷惑です。
「貴方のアドバイスをやって、症状が変わらなかったら、さらに悪くなったら、責任を取れるのか」
「同じ病気になったこともないのに、なぜそんなことが言えるのか」
そうです。これはあまりに無責任な発言なのです。悪気が無いからといって、受け流せるものではないのです。
また、私の母親は、妻と妻の両親との関係が良くないことに触れ、
「ご両親も悪気があったわけではないと思うし、自分も親になるにつれて親のありがたみが分かってきた。ご両親に感謝しないとね」
といった趣旨で諭すような発言もしていて、これに妻は大きなショックを受けました。
妻には、両親から受けた、妻にしか感じられない過去の痛みがたくさんあります。母親の発言にも「(一般的には)そうなんだよな」と思いつつも、心は納得できないのです。
妻は、自分が辛かった時期にそういうアプローチを取り続けてきた私の母親に大きなショックを受け、母親と会うのが怖くなり、憎悪の感情も芽生えました。思い出すだけで辛くなるのです。
夫である私は当時、あまりに無知でした。あのとき、母親に対して毅然とした態度で真っ向から突き放し、すぐに妻を守ることが私の役目だったのですが、不十分だったのです。
「母親は心配しているんだよな」
「色々言ってきたけど、話し半分で、良さそうと思ったアプローチだけ試してみればいいんじゃないかな」
こんな心の持ち様だったと思います。私は、母親の気持ちにたって、母親の擁護をしてしまっていました。
困っている人がいたら、助けたくなる。それはそうかもしれません。でも、相手の立場、状態、気持ちに立ったアプローチがどこまで出来ているでしょうか。私にも、両親からの「刷り込み」があるのです。
私は、恵まれた家庭に育てられたと思います。妻と子供時代のことを話し合ったとき、そのギャップの大きさに少なからず戸惑いました。
家庭環境により、両親への気持ちにも差があるのは当然です。妻の心理に寄り添うことが出来なかったのは、私の生い立ちから築かれた性格、様々な経験不足が一つの原因だったように思います。
今でははっきり思います。あれは母親のアプローチが悪かった。そして、私が妻の気持ちに寄り添うことが出来ていなかった。それらが引き起こした、今の妻と私の両親との関係なのです。
こういう状態で、私の実家の両親に子どもを預ける、あるいは来てもらうなんて、考えられないのです。
そしてこれらの事実は、次の理由にもつながります。
理由その③ 生まれたての赤子の時期からたっぷり愛情を注ぎたい
先述の通り、妻の精神疾患や過去の身体的な痛みの症状は、幼少時代からの親の愛情不足が大きな要因と書きました。
であれば、「私たちの子どもには、たっぷり愛情を注いであげたい」と強く思うのは当然の流れです。
でも、「赤ちゃんのときから愛情を注ぐって、果たしてどれだけ意味のあることなのか」、昔の私は疑問に思っていました。
赤ちゃんはおっぱいを吸っているとき、オムツを替えられているとき、沐浴させられているとき、
「オレ、今、愛情を受けているな~」
なんて、考えることはきっとないでしょう。考えていたらちょっと気持ち悪いです(笑)
私も、赤ちゃんの頃に親に良くしてもらっていたなんて、覚えていないです。
記憶が定着し始めてくるのは、おそらく3歳くらいからではないでしょうか。
じゃあ、3歳くらいから、たっぷり愛情を注いでいたら、その子が大きくなったときに、
「そういえば、小さいころからよく遊びに連れて行ってくれたな~美味しいものもたくさん食べさせてもらったし、親に感謝だな!」
と思うかもしれません。
まぁ、それはそれで良いのかもしれません。昔の私は、「記憶が定着し始めるくらいからがっつり愛情を注いでいけばいいんじゃないか」と思っていました。将来、子どもが私たち両親に感謝してくれることを期待して、です(笑) それは今の自分が両親に対してそう思っているからかもしれません。
じゃあ、3歳くらいまでは最低限のお守りをしていればいいのでしょうか。
「放っておいても育つからね」なんて言う人もいます。これは新興宗教に救いを求めた妻の母親が放っていた言葉です。。。その新興宗教では、「捨て育て」というそうです。。。
先述の妻の幼少時代の経験と照らし合わせてみたときに、やっぱり腑に落ちなくなってくるわけです。
(妻の母親が新興宗教に救いを求めたのには理由がありますが、ここでは割愛します。理解できる理由ではありますが、妻がネグレクト系の虐待を受ける状態であったことは事実であり、それを正当化することにはつながりません。)
心理学のお話ですが、人間には意識と無意識の世界がありますね。表層心理と深層心理です。
表層心理とは意識の世界で、自分が感じていること、記憶していること、これらは海の上に顔を出している氷山の一角に過ぎないと言われています。対して深層心理は、海の中の奥深くにまで、無意識の世界ですから、どこまで続いているかも分かりません。
その深層心理は、無意識的に自分の心理的な状態や身体の状態に表れてきています。自分自身が気が付かないところで。
3歳くらいになって自我が芽生えて記憶が定着し始めてくるとき、それは表層心理の世界で表れてくるわけですね。
であれば、それより前の赤ちゃんの時期は、深層心理、無意識の世界が大きく作用していることになります。
そう考えると、赤ちゃんの頃に、外界から感じる刺激は、深層心理、無意識の世界にダイレクトに作用するわけですから、なおさら大事な時期ですよね。
また、心理的なトラウマというものは、生まれてから3歳までの期間にも深層心理から生じることがあると言われています。妻の幼少時代は、夜泣きをしても両親は起きなかった(起きられなかった)ため、夜におっぱいを飲んだことは無かったそうです。妻は食べ物への執着が強いのですが、こういった過去の幼少時代の経験が無意識の世界でトラウマとなっている可能性は否定できません。
これらのことを鑑みると、6ヶ月間という育児休業の期間は十分な期間とは言えないかもしれませんが、せめてその期間だけでも、毎日たくさん赤ちゃんに触れる時間を持つことは、とても大事なことだと思っています。
先日参加した、マインドフルバーシング(妊娠・出産のためのマインドフルネス)のワークショップを受けて、その気持ちはますます強くなっています。
育児休業から復帰した後の不安について

ここまで書いてきたことが、育児休業を取得したい大きな理由です。
というか、ここまで書いてみて思うのですが、取得しなかったらどうなるんだ?という状態だと改めて思います。
「じゃあ、なんでここまでの状態で、子どもを生み、育てようと思ったの?」
と思われるかもしれません。
そうです、普通に考えてみたら、私たち夫婦が子育てすることはリスクが大きいのです。
夫婦ともに健常な身体で、両親にも頼れるようなご夫婦と比べてみると、かなりのハンディキャップを抱えているように感じます。
妻は専業主婦で、収入源は私一人ですからね。私が休業して長引いたら、やがて収入はゼロになります。
妻も、満足に働けるような状態でもありませんから、完全にゼロですね。
生まれてくる子どもからしてみれば、
「聞いてないよー!(上島竜平風に)」って感じかもしれません。
もしそう思ったら、本当にごめんなさい。
でも、ハンディキャップがあるからこそ、私たち夫婦は多くのことを学べたし、身に付けてきたと思っています。
身体に痛みがあったからこそ、身体のサインに気づくこと、ケアをすること、身体を意識的にいたわるということ、健康的な食事のための知識、アーユルヴェーダという伝統医学に出会えたこと。
精神疾患と向き合ってきたからこそ、心と身体はつながっているという実感、相手の心や境遇を理解することの重要性、マインドフルネスで心と向き合うこと、心から信頼できる人とのつながり。
収入源は私一人だからこそ、自分の労働以外の収入を作ることの重要性、資産運用の情報を収集し、実践し始めることが出来たこと。
これらの経験を総動員して、生まれてくる子どもに愛情を注いでいきたいと思っています。
勝手な思いですが、ここに、私の人生の醍醐味があると思っています。
熱く書いてしまいましたが、肩肘張らずに、頼れるところは頼りながら、子育てを苦悩しながら楽しんでいきたいと思っています。
以下の記事も、ご参考になれば幸いです!
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
感想、ご意見などございましたら、ブログ内もしくはツイッターでいただけますと励みになります^^
最近のコメント